逆 ソクラテス ネタバレ。 【感想/あらすじ】逆ソクラテス/伊坂幸太郎 ※少しネタバレあり

小説『逆ソクラテス』書評感想

逆 ソクラテス ネタバレ

伊坂幸太郎・1971年生まれ。 2000年に「オーデュボンの祈り」で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞してデビュー。 04年「アヒルと鴨のコインロッカー」で第25回吉川英治文学新人賞、「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞(短編部門)を獲得。 08年「ゴールデンスランバー」で第5回本屋大賞・第21回山本周 五郎賞を受賞。 他に映画化もされた「重力ピエロ」、「グラスホッパー」、「フィッシュストーリー」など。 近著では「フーガはユーガ」、「クジラアタマの王様」など 逆ソクラテス 先生がピンクの服を着ている草壁に「女みたいだな」と言った事がはじまりとなり草壁は生徒達から馬鹿にされるようになりました。 加賀は転校してきた安斎からそれぞれの意見があるわけで勝手に決められた時には「 僕はそうは思わない」と言えば負けないと教わりました。 「先生は自分は正しいと決め付け生徒に押し付ける、草壁のことを見下しているから先入観を変えてやろう」 草壁を「できない生徒」から「できる生徒にしてやろう」と作戦会議が始まったのだ。 ただ、草壁には何のメリットもありません。 先生の先入観をひっくり返せば子供に対して先入観を持つのにストップがかかるため今後の生徒のためにはなると考えたのです。 こうしてカンニングをして草壁は100点だったわけだが先生が特に驚いた様子はなく次の作戦で「草壁は絵が下手」から「絵がうまい」に変えてやろうと計画し加賀は美術館で係員に話しかけるよう安斎に頼まれました。 「有名画家の絵を草壁の絵だと思わせ、もし先生がそれでも認めなかったら画家の絵なのにと教えてやればいい」 しかし画家の絵にはサインが入っているのでバレると思い計画は中止に。 安斎は「自分が好きな人が好きなものは好きになる」とつぶやき「誰からも評価が高い女子生徒の佐久間が草壁を評価すればいいのだ」と思い付きます。 「変質者に佐久間が遭遇したが誰かに助けられ無事だったらしい」と噂を流すと一気に知れ渡り佐久間が教室で説明すると全員が驚いて草壁を見ました。 また有名なプロ野球選手が来たときに安斎は「草壁をほめてやってほしい」と頼みました。 草壁が素振りをするが先生が「女みたいだな、しっかり振れ」と口にすると生徒達に笑いが起きます。 そこで安斎は「黙って」と先生に言い放ち、「素質があるよ」と言われた草壁は喜びます。 しかしまたもやここで「お世辞なんだから真に受けるんじゃないぞ」と先生の横やりが入りました。 すると今までダメダメで俯いてばかりだった草壁が勇気を持ち、ぎこちないながらも「 僕はそうとは思いません」と言い放ちました。 加賀と安斎はその時、ものすごく笑顔になり、成人式で再会すると草壁は「僕はそうは思わない」と普通に会話で使っていました。 スロウではない 運動会のリレーでクラスから2チーム参加する事になりAチームはタイムが速い順、Bチームはクジで決まることになり足が遅かった司は運悪く引いてしまいました。 また声も小さく脅えるように縮こまっていた高城かれんが転校してくるまでいつも一人でいた村田花も引いてしまいました。 他2名を加えた4人で練習を始め、司の仲良かった悠太と村田が仲良くなった高城が練習に付き合ってくれます。 女子の中心人物である渋谷亜矢は頭が良く口が達者であり足が遅い自分たちにぐちぐち言ってきた。 「ビリなら謝れ」と意味不明なことを言い自分は特別な人間だと勘違いしている人。 そんな渋谷は「高城は苛められて転校してきた」と言い始めます。 練習を見られるのは嫌だったが高城が「速く走る方法」を調べてきてくれたおかげてタイムが少しずつ伸びていきました。 本番、司はなんとか練習通りに走っているとバトンを渡すはずの村田が前の種目で足を怪我していませんでした。 「こっち」と呼ばれ無意識に渡すとバトンを受けた高城は誰よりもタイム測定では遅かったのに恐ろしい速さで駆け抜けて追い抜き先頭の渋谷を追い越してトップでゴールしました。 誰もがその光景に驚き高城は尊敬の目で見られたが、関係ない人が走ったから失格だと渋谷だけでなく彼女の母までも主張しました。 自分が1位じゃない事に頭にきて何癖を付けたのだろう。 足を怪我してしまった村田だけは失格なんて酷いと泣きながら先生に訴えました。 ある日、渋谷がアクセサリーを拾い、自分の物だった高城は返してと要求しました。 さすがに頭にきた司と悠太は「イジメみたいな事やめろよ」と訴えると村田も勇気をだし返すよう訴えました。 学校に持ってきたらダメなのに何で自分が責められるのかと渋谷は訴え「前の学校で苛められてたからそう思うだけ、苛められるのにも理由がある」と言います。 高城は「理由なんてないよ」と伝えると、渋谷は頭にきてアクセサリーを踏みつけるが中から出てきたのは自分の写真だったので驚きます。 高城は前の学校でクラスの中心で威張っていてみんなを見下し自分が一番だと思っていたのです。 渋谷がどうゆう行動に出るのか誰よりも分かっていた高城は「イジメはダメ。 取り返しが付かなくなるから」と訴えると渋谷は教室を出て行きました。 高城は前の学校で誰かを苛め被害者がどうなったかは分からないが「やり直したくて来たんだろう」と司はその時思いました。 先生から見せられた写真には男1人と女2人が映っていました。 よく見ると仲が良かった悠太で結婚相手は村田でした。 そしてその横で笑顔で映っているのが高城だと気付くとずっと親交があったのかと喜ぶが小学校を卒業して沖縄に引っ越していた司はそこに自分がいない寂しさも感じました。 非オプティマス 小学生の将太は騎士人がいつも缶ペンケースを落として授業を妨害するのでうんざりしていました。 久保先生は生徒に舐められるタイプだったので軽く注意するだけです。 将太は安そうな服をいつも着ている事から騎士人に「やすいふくお」とあだ名を付けられている福生とばったり会い話していると同級生の潤が一人で泣いていたので声をかけます。 父親と暮らしている潤は言い合いになったので同じ空間にいるのが嫌になり外に出てきたのです。 騎士人の父親は有名な企業のお偉いさんでした。 偉そうで威張る奴はどうも苦手だと口にする福生が「私に良い考えがある。 痛い目に遭わせてやろう。 」と言いました。 将太は言われたとおりビデオカメラを用意します。 騎士人たちがゲームセンターで遊ぶ約束をしていたので証拠を撮ってやろうというのが福生の考えだが規則を破る証拠を掴むにはこちらも規則を破らなければならない。 尾行に失敗し警察に話しかけられてしまうがそこに現われた久保先生が瞬時に察したのか誤魔化して助けてくれました。 ただ、理由も聞かず解放されたのでなんか違うと小学生ながら思います。 将太の父親も体罰なんて当たり前だと思っており生徒から舐められる先生を情けないと思っていました。 ある日、先生の恋人が亡くなったという噂があり騎士人に唆された生徒が給食中に質問しました。 大学時代の恋人が目の前で交通事故に遭ったらしく将太はそれから精神的にやられたのではないかと思います。 授業参観で騎士人が缶ペンケースを落とす計画を立てていたので福生は教えてやろうとするが職員室にいなかったので伝える事が出来ませんでした。 将太は偶然先生を見かけ福生を誘って尾行すると潤の家に到着しました。 盗み聞きすると先生の恋人が亡くなったのは潤の父親が落とし物をしてそれを拾ってあげた事が原因だと知ります。 その時怖くなって仕事を理由に逃げてしまったがその後彼女がどうなったか分からないようで自分みたいな卑怯な人間になってほしくなくて潤に厳しくしているのだと言います。 先生は自分のせいではなく間接的な事件であってもいつまでも苦しんで悩んでいるのを見て「立派だと思います」と告げました。 授業参観日、さっそく缶ペンを落として授業を妨害されると将太の父親は「もっと厳しく接してください」と要求しました。 先生はお礼を行ったあと自分の考えを長ったらしく話し始めました。 わざと迷惑をかけたり暴力を振るったりする人は楽しむ方法が分からない可哀想な人だと思っておけばいい。 そんな事をする人は何も言われないかも知れないが評判は悪くなる。 みんなの記憶の中で卑怯な人だとインプットされてしまうもの。 福生の服を馬鹿にしてきたので将太は「だから見たままの人じゃないかもしれないぞ」と言うが当然騎士人のような人には届くはずもない。 騎士人の父親に「同級生、友達じゃないけど」と紹介され福生はカチンときます。 しかし騎士人の父親は福生の母親を見てクライアントだったらしく深々と挨拶し始めました。 「仲良くやってるんだろ」と互いの親に聞かれ福生はニヤつきました。 アンスポーツマンライフ 小学生の時のバスケットチームの仲間だった歩、駿介、剛央、匠、美津桜は大人になってからでも交流がありました。 小学生の時、ガミガミ煩くギャンブルのようなプレーはするなと言っていたコーチが辞め代わりになってくれたのが資格を持っていた学校の先生でした。 「バスケの世界で残り1分は永遠だ。 チャレンジしろ、成功したら君たちの力、失敗したらコーチの俺のせいだ」 大事な一歩が踏み出せるよう歩と名付けられた歩は躊躇してしまう、いつもフォローしてくれるボールの取り合いに強い美津桜、俊足でテクニシャンの駿介、冷静な匠、ゴール下で頼もしい剛央・・。 残り20秒、相手からボールを奪い決めれば逆転勝ちになる、しかしボールを奪い走り出した駿介が思わず相手の足をひっかけてしまい「アンスポーツマンライクファウル」を取られ負けてしまいました。 中学卒業して高校に入り皆と再会すると高校でもバスケを続けているのは剛央だけでした。 公園を横切っていると匠が不審人物に気付きました。 するとナイフを取り出し砂場で遊んでいる子供に近付いていったので剛央と駿介がすぐに駆け出します。 匠はすぐに警察に電話し歩は隣にいた美津桜が走り出してからようやく身体が動きました。 不審者を捕らえた高校生5人は表彰されちょっとしたニュースにもなりました。 癌を患い入院している先生は「追い込まれて事件を起こしたかも知れないし、やがて出所して社会に戻ってくるからそいつも幸せになってもらわなくては困るよな」と言いました。 6年後、歩は公務員、匠は医学生で急に身長が伸び、美津桜は会社経営、駿介はユーチューバーとして有名人となっていました。 剛央が小学生にバスケを教えていたので有名になった駿介を子供達に紹介して自慢したい、その序でに歩たちも呼ばれたようだ。 体育館の中から剛央の先輩である山本の恫喝が聞こえてきました。 あんな押し付けて恫喝しているのは意味がないと思うが剛央は先輩なので意見を言えないらしい。 ボールが引っかかって落ちてこなくなり歩は体育倉庫に行くと重く激しい音を耳にしました。 誰かがボールを落としたのかと思って出て行こうとしたが誰かが大声で叫んでいたので止めました。 よく見ると6年前に捕まえた男が拳銃を手にしていました。 有名人となった駿介のSNSを見てやってきたのだろう。 立ち塞がった山本が太股を撃たれ、歩は現実と思えなくて身体が硬直し動けなくなります。 しかし今まで何もできなかった歩は気付かれていないのは自分だけだと気付きバスケットゴールを自動で動かし男が目をそらした瞬間に長いパスが得意だった事から匠を呼んでボールを投げました。 匠はボールをキャッチすると同時に銃に向かって投げ付け、落ちた拳銃はすばやく美津桜が拾いました。 剛央が子供達を避難させ誰よりもはやい駿介が足元に飛び込み、ひっくりかえった男を押さえつけました。 先生の言葉を思い出す駿介たちは「ダメな事はダメ。 バスケの世界で残り1分を永遠と言う、だから残りの人生なんてそれより永遠だ」とむちゃくちゃな言い分を伝えました。 医学生の匠が救急車が来るまで診察し「大したことない」と伝えると、山本が散々子供たちに怒鳴っていた言葉を聞いていた美津桜が「試合に集中していれば痛みなんてふっとぶから痛がらないでください」と告げました。 駿介は「アンスポだったな、ゴメン。 俺がプロになるところを観ていてくれよ」と男に言いました。 歩は相手にリスタートの権利が与えられる事はだまっていました。 逆ワシントン アメリカ大統領のワシントンは子供の時に父親が大事にしていた桜の木を斧で切り正直に告げて謝ったら褒められた。 虐めを受けた人は一生その人の事は忘れない。 もしその人が将来とてつもない力を付けたらどうするのか。 自分が悪いことをしたら素直に謝らなくてはダメ。 今ならまだ間に合う。 それが母親の教えだが「斧を持っていたから怒れなかったのでは。 当時アメリカに桜の木なんてない」という声も聞こえてきて創作だと知ります。 小学生の謙介は腹痛で休んでいる靖にプリントを届けるよう先生に頼まれ友人の倫彦と一緒に届けに行くが靖の父親の様子がおかしいと感じました。 靖の身体には痣があったし父親と血縁関係がないことから虐待ではないかと疑います。 どうすればいいかと考えたときにUFOキャッチャーの攻略法を自由研究で発表した京樹(あだ名は教授)を思い出します。 ゲーセンに行ってドローンを取ろうとするがお金がなくなってしまいます。 教授はあと一回やればできると断言し謙介は落ちていた100円を拾います。 母親の話を思い出し正直に落ちていた事を伝えると店員は「この100円は受け取っとくけど正直に報告してくれたから」と自分の財布から取り出した100円をくれました。 その100円で見事にドローンを獲得し2階の靖がいる部屋が見える位置に飛ばすと呑気に何やってんのと靖が父親と一緒に降りてきました。 教授が「二人が虐待を疑っていたから」と暴露したので謙介たちは一瞬ドキリとするが靖と父親は笑いました。 靖の身体にできた痣はソフトボールがキャッチできるように父親と練習して出来たものでした。 プリントを届けに行ったときには体育でソフトボールの授業があっで仮病で休んでいた事もあり、無理に学校に行く必要はないという考えだった父親は会わせると元気なのがバレてしまうから無理に帰ってもらおうとして様子がおかしいと思われてしまったのです。 靖がドローンをやりたいというので使わせてやるとどこかへ飛んで行ってしまいました。 みんなで四方に分かれ捜すとバイクにまたがっている人が拾い手にしていました。 ぶつかったのかと思い怖くなった謙介はあのまま捨てようと思うが母親の教育を思い出し謝らなければダメだと引き返します。 ところがガミガミ怒鳴られ土下座まで強要してきたので後悔します。 「斧を持っていたから怒れなかった」と耳にした事を思い出しバッグから黒魔術大全の本を掴んでタイトルを相手に見せるように抱えました。 そこにドローンを捜していると靖から聞いた母親がやってきて怒りながら自分たちを連れて行き逃がしてくれました。 子供が謝っているのにガミガミ煩い人には何を言っても無駄なので母親は咄嗟に察知して「私の車傷付けて、弁償しなさい」と怒りながら連れて行ったのです。 「ちゃんと謝ったのは偉いよ」と母親に褒められた謙介はやっぱり謝って良かったと思います。 しばらくテレビの調子が悪く転勤中の父親から買っていいと許可が出たので謙介は母親と一緒に買いに行きます。 テレビ画面には日本代表のバスケの試合が流れてしました。 ユーチューバー出身で遅咲きの選手が日本の中心なようで残り0秒で逆転という神業を見せました。 すごいなと感動していると何故か担当してくれていた店員がそれを見て何かを噛みしめるようにして涙を流していました。 違う店員がどうしたのとやってきて「真面目でいいひとなんですけど、すいません」と頭を下げてきました。 母親は「感動したバスケの試合を見たあとだし、真面目な人は好きだからそれ買うわ」と告げると店員は頭を下げました。

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【感想/あらすじ】逆ソクラテス/伊坂幸太郎 ※少しネタバレあり

逆 ソクラテス ネタバレ

【内容情報】(出版社より) 敵は、先入観。 世界をひっくり返せ! 伊坂幸太郎史上、最高の読後感。 デビュー20年目の真っ向勝負! 無上の短編5編 書き下ろし3編を含む を収録。 <収録作> 「逆ソクラテス」 「スロウではない」 「非オプティマス」 「アンスポーツマンライク」 「逆ワシントン」 【著者略歴】 伊坂幸太郎 いさか・こうたろう 1971年千葉県生まれ。 東北大学法学部卒業。 2000年『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。 04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞 短編部門 、08年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞・第21回山本周五郎賞を受賞。 他の著書に『重力ピエロ』『終末のフール』『残り全部バケーション』『AX』『ホワイトラビット』『クジラアタマの王様』、阿部和重氏との合作『キャプテンサンダーボルト』などがある。 【内容情報】(「BOOK」データベースより) 逆境にもめげず簡単ではない現実に立ち向かい非日常的な出来事に巻き込まれながらもアンハッピーな展開を乗り越え僕たちは逆転する!無上の短編5編(書き下ろし3編)を収録。 【目次】(「BOOK」データベースより) 逆ソクラテス/スロウではない/非オプティマス/アンスポーツマンライク/逆ワシントン 【著者情報】(「BOOK」データベースより) 伊坂幸太郎(イサカコウタロウ) 1971年千葉県生まれ。 東北大学法学部卒業。 2000年『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。 04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞(短編部門)、08年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞・第21回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです).

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敵は先入観。世界をひっくり返せ!「逆ソクラテス」

逆 ソクラテス ネタバレ

の小説なら、今まで何冊も読んできた。 それでも、の小説はいつも楽しみであり、何度も読み返すほど好きだ。 今日は、の最新刊「逆」について書いていこうと思う。 <もくじ>• キャッチコピーとカバーデザイン 旦那につきあって近所の本屋へ行った時のこと、旦那に「何か買う?」と聞かれ、「いや、今月分のお小遣い結構使っちゃったし、今日は我慢しようかな」という会話をしつつ、ぶらぶらと新刊をチェックしていた。 すると、の新刊「逆」が積んであるではないか。 今しがた「今月はもう我慢しよう」と心に決めたばかりなのに。 しかも、キャッチコピーがずるい。 表には 「敵は、先入観。 世界をひっくり返せ!史上、最高の読後感。 デビュー20年目の真っ向勝負!」。 裏には 「逆境にもめげず、簡単ではない現実に立ち向かい、非日常的な出来事に巻き込まれながらも、アンハッピーな展開を乗り越え、僕たちは逆転する!」 どれもツボである。 帯を読んだだけで期待が高まり、伊坂の軽快なストーリー展開に、手に汗握るシリアスな場面、伏線を華麗に回収しながら着地するラストを思い描き、既に鳥肌が立つ。 加えて、カバーデザインもずるい。 こちらも、ファンタな世界を描いたような色合いと絵でそのまま額に入れて飾ってもいいな、と思うくらいツボだった。 よく見るとそこに書かれている人物は全て小学生。 こんなの面白くない訳がない。 「今月は我慢しよう」という決意は、キャッチコピーとカバーデザインを前にして早々に崩壊したのである。 「答えのはっきりしないこと」に対するひとつの答え 読み終わって「やっぱり面白かった」と思った。 各ストーリーで先入観がひっくり返っていく様は爽快で、今まで経験した納得のできない物事や人にギャフンと言わせた気分だった。 現実の世界では、このように特定の悪者を倒して「一件落着、めでたしめでたし」ということはほとんどなく、割り切れないことや完全に解決できないことが多々ある。 3話目『非ス』に登場する久保先生の言うところの「答えのはっきりしないこと」である。 今作には「答えのはっきりしないこと」の事例が多く提示されている。 そして、物語の中でも現実の私たちと同じように、どのキャターもはっきりした答えは出せないでいる。 しかし、正解が出せないながらも、この小説ではひとつの成功例を生み出していて、読み終わったときには優しい気持ちになった。 現実世界の私たちは、この先も答えのはっきりしないモノたちと生きていくのだろうけれど、誰かを批判したり攻撃したりすることは最善ではないということはわかる。 その先には、もしかしたら、今作のような爽やかな結末もあるのかもしれないと思えた。 読みやすい一冊 今回の小説は、伊坂の小説の中でも特に読み進めやすい内容だと感じた。 まず、短編小説でこまめに話が完結し、とっつきやすいことも挙げられる。 更に、小学生の話が中心であるため、おそらく誰でも一度は経験があるであろうシチュエーションが数多く出てくるからだ。 私の旦那は小説が苦手だ。 参考書などの難しい本はたくさん読むのだが、どうやら物語を読むのが苦手らしい。 「絵が無いと無理」と言っていたから、おそらくイメージできないのだろう。 確かに自分が経験したことのないものを想像するのは難しい。 しかし、世紀末の世界でも宇宙の話でもなく、超人的な能力を持つ主人公が聞いたことのない技で戦うような場面もない。 誰もが経験した小学生時代がベースだ。 小説に馴染みのない人でも、読みやすいのではないだろうか。 「分厚い本は苦手」「の小説は読んだことがない」という方にもお勧めだし、子供の読書感想文の題材にしてもいいくらいだと思っている。 また、伊坂の短編は独立したストーリーに関わらす、一冊を通して登場人物やストーリーがゆるく交差する。 そのため、すべて読みえたときにつながる爽快感も醍醐味だ。 大人も子供も是非読んでみてほしい一冊である。

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