ハクビシン コロナ。 野生動物に気をつけろ! 新型コロナはペストと同じ人獣共通感染症(田中淳夫)

新型肺炎:タヌキ、アナグマからもコロナウイルス WHO

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武漢から到着した乗客の体温をチェックする保健当局の職員(2020年1月22日、北京)。 新型コロナウイルスの感染は拡大し続けている。 コロナウイルスは人獣共通ウイルスのため、動物から人間に感染する。 2000年代初め、774人が死亡したSARSのコロナウイルスは、コウモリからシベット、シベットから人間へと感染した。 新型コロナウイルスも、もともとはコウモリからきていると考えられていて、コウモリからヘビへ、ヘビから人間へと感染した可能性がある。 と、2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)には2つの共通点がある。 どちらもコロナウイルスが原因で、生鮮市場でウイルスが動物から人間へと感染した。 コロナウイルスは人獣共通ウイルスだ。 つまり、動物から人間へと感染が広がる。 生鮮市場では生きているまたは死んでいる動物 —— 犬、鶏、豚、ヘビ、シベットなど —— と人間の距離が非常に近く、ウイルスの種を超えた感染が起きやすくなっている可能性がある。 Wildlife Conservation Societyは1月23日に出した声明文の中で、「ほとんど規制されていない、違法な野生生物の取り引きもある生きた動物の市場が、ウイルスに野生生物の宿主から人間へとうつる滅多にない機会を与えている」と指摘している。 SARSの場合、もともとの感染源はコウモリだった。 コウモリのウイルスがそのフンや唾液を通じて他の動物に感染し、気付かないうちにその動物がウイルスを人間に運んだ。 オランダ、ロッテルダムにあるエラスムス医療センターのウイルス学者Bart Haagmans氏は、「コウモリと鳥類はパンデミックの可能性があるウイルスを保因する種と見なされている」とBusiness Insiderに語っている。 過去45年間で、少なくともSARSに加えて3つのパンデミックがコウモリに由来している。 キクガシラコウモリ。 SARSのウイルスの起源となったチュウゴクキクガシラコウモリの仲間。 だが、動物に由来するコロナウイルスにはパンデミックのリスクがある。 「これらのウイルスはこれまで人間に広まっていなかったため、こうしたウイルスに対する特異免疫が人間にはない」とHaagmans氏は指摘する。 新型コロナウイルスの感染は今も拡大し続けている。 専門家は感染源となった動物をまだ特定していないが、いくつか候補を挙げている。 中国の科学者たちが新型コロナウイルスの遺伝子コードをその他のコロナウイルスと比較したところ、中国のことが判明したという。 ロッキーマウンテンラボラトリーズのウイルス学者ビンセント・ミュンスター(Vincent Munster)氏は、「コウモリのウイルスの可能性がある」とBusiness Insiderに語っている。 医学雑誌『Journal of Medical Virology』を編集している科学者グループによると、アマガサヘビやタイワンコブラがウイルスを運んだ可能性があるという。 タイワンコブラ。 Thomas Brown 遺伝子の、新型コロナウイルスの遺伝を構成する要素がヘビによく似ていることが分かったのだ。 そのため、研究者らはコウモリのウイルスがヘビに感染したと考えている。 そして、このヘビが武漢の華南海産物市場で売られていたことで、ウイルスが人間にうつったという。 だが、研究者らによると、ウイルスがどこから来たかを正確に突き止めるには、市場で売られていた動物や、この地域の野生のヘビとコウモリのDNAサンプルが必要だという。 なぜコウモリがこのような脅威を及ぼすのか? によると、コウモリは他の哺乳類に比べて、人獣共通ウイルスを持っている割合が非常に高いという。 専門家は、コウモリの飛行範囲は広く、いろいろなところから病気を運んでいる可能性があると考えている。 これがコウモリを理想的な宿主にしている。 SARSを診療する病院の外を防護服を着て歩く看護師(カナダ、トロント)。 Reuters コウモリはそのフンを介してウイルスを運ぶ。 コウモリのフンが果物に落ち、その果物を他の動物が食べると、その動物がウイルスを運んでいく。 「世界保健機関(WHO)がまとめた、優先すべき感染症のブループリント・リストに載っているかなりの数のウイルスがコウモリと直接もしくは間接的にリンクしていることが分かっている」とミュンスター氏は言う(SARSやMERSのウイルスもこのに含まれている)。 には、コウモリが中国で流行する新型コロナウイルスの感染源になるかもしれないと予測する研究もあった。 「未来のSARSもしくはMERSのようなコロナウイルスの流行は、コウモリが感染源となる可能性が非常に高く、中国で発生する確率が高まっている」と研究者らは書いている。 これは、コロナウイルスの多くが中国で見つかっているためだ。 加えて、この論文の筆者は、こうしたコロナウイルスの宿主であるコウモリの大半が「中国では人間の近くに生息していて、ウイルスを人間や家畜に伝染させる可能性がある」と述べている。 例えば、SARSウイルスの感染源となったコウモリがは、最も近い村から1キロメートルほどの距離にあった。 同様に、は、「(ウイルスが)人にうつり、SARSに似た感染症が発生するリスクがある」と警鐘を鳴らしていた。 論文の筆者は、少なくとも300種類のコロナウイルスが今もコウモリの間に広まっていると指摘している。 SARS、MERS、エボラはどのようなしてコウモリから人間へと感染したのか? SARSを追跡した研究者は、その感染源として中国の雲南省に生息するにたどり着いた。 コウモリのウイルスは、広東省の生鮮市場にいたパームシベットの1種であるハクビシンから人間へとうつった。 2002年から2003年にかけてSARSは29カ国に広がり、8000人以上が感染、774人が死亡した。 患者には、発熱と頭痛に加え、呼吸不全の原因になり得る深刻な肺炎といった症状が見られた。 ケージに入れられたアジアン・パームシベット(2019年11月20日、インドネシアのバリ島)。 このコロナウイルスは、2012年に人間への感染が確認される前、数十年にわたってヒトコブラクダの間で広まっていた。 MERSはこれまで28カ国に広まり、858人が死亡した。 症状としては、発熱、咳、息切れなどがある。 東南アジアでは、オオコウモリを自然宿主とするニパウイルスが報告されている。 ニパウイルス感染症は1998年にマレーシアで、2001年にインドで起きた。 ウイルスはコウモリから家畜の豚へ、その豚から人間へとうつった。 症状としては、頭痛や嘔吐があり、多くの患者が昏睡状態に陥ったり、死亡した。 アフリカのオオコウモリも1976年以降、エボラ出血熱の流行に大きな役割を果たしてきた。 だが、エボラの史上最悪の流行時には、ウイルスはからきていた。 2013年から2016年の間に1万1000人以上がエボラ出血熱で死亡している。 人獣共通ウイルスが人間にうつるのをどう予防するか? 生鮮市場では、買い物客と露店や生きているまたは死んでいる動物との距離が非常に近く、これがこうした市場を人獣共通感染症の温床にしている。 シカゴ大学医療センターの感染病専門医、「地域の文化的背景から、人々は自分の購入しようとしている動物が目の前で食肉処理されるところを見たいと考えていて、そうすることで自分がお金を払ったものが受け取れると確認できる」という。 「つまり、買い物客の前にはたくさんの皮をはいだ、死んだ動物が並んでいて、その結果、あらゆるものが浮遊している」のだ。 武漢では1月22日、当局がこうした生鮮市場での生きた動物の販売を禁止した。 新型コロナウイルスの流行が始まったと考えられている海鮮市場も封鎖されている。 専門家は、ウイルスの感染拡大を防ぐために、こうした類の介入を支持している。 Wildlife Conservation Societyのヘルス・プログラムのエグゼクティブ・ダイレクター、クリスチャン・ワルツァー(Christian Walzer)氏は「人獣共通感染症が世界の公衆衛生に与える脅威を政府は認識しなければならない」とその声明文の中で述べている。 「今こそ都市部を中心に、野生生物の取り引きを行っている生きた動物の市場を閉じ、野生生物の密売の取り締まりを強化し、野生生物を食べるという危険な行動を変えるべく取り組む時だ」と、ワルツァー氏は言う。 香港の九龍城区にある生鮮市場で、鶏の入ったケージの上で眠る業者(2004年1月31日、中国)。 「新たなパンデミックの原因になる可能性が最も高いウイルスはコロナウイルスだろうと、わたしは以前から考えていた」と、トナー氏はBusiness Insiderに語った。 「グローバル化や自然環境の破壊のせいで、わたしたちは伝染病の時代にいる」という。 ただ、新型コロナウイルスの流行はまだパンデミックとは見なされていない。 中国は感染の拡大を食い止めるため、武漢とその周辺都市を、WHOは23日、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態の宣言を見送った。

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ハクビシンとSARSの関係

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都心に生息するアライグマとハクビシンの問題。 ハクビシンは在来種なのか外来種なのか。 環境省によるとDNA検査を行った結果、台湾などから入ってきた外来種であることが分かったという。 5年前には都心に相次いで出没するアライグマを取材。 北米原産のアライグマは日本にはいない動物だったが、アニメ人気でペットとして急増。 その後特定外来生物に指定されたアライグマは、捨てられて野生化。 凶暴なアライグマが東京23区で爆発的に増える危険性があるという。 東京・世田谷区の住宅街での目撃映像を紹介。 アライグマ騒動は空き家問題にも飛び火。 東京・新宿区でも目撃証言が。 東京都はアライグマ、ハクビシン防除対策検討委員会を設置。 プロナチュラリスト・佐々木洋は今後都会に専門家は都内にアライグマとハクビシンが増加するのではと指摘。 埼玉県農業技術研究センター・古谷益朗部長、東京都環境局自然環境部担当課長のコメント。 写真提供:視聴者。 映像提供:埼玉県農業技術研究センター、AAAホームサービス。 新型コロナウイルスに言及。

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野生動物に気をつけろ! 新型コロナはペストと同じ人獣共通感染症(田中淳夫)

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今、世界は 新型コロナ肺炎が蔓延している。 この疫病は「COVID-19」と名付けられたコロナウイルスの新しい型が引き起こす。 感染源は確定していないが、コウモリだろうと言われている。 2003年に流行した 重症急性呼吸器症候群(SARS)、さらに 中東呼吸器症候群(MERS)もコロナウイルスの仲間が引き起こした。 SARSはコウモリの持っていたウイルスがハクビシンを介して人間に感染した。 MERSはコウモリからヒトコブラクダを介して人間へうつったようだ。 鳥インフルエンザも、1997年に人に直接感染することがわかり新型インフルエンザとなった。 2014年に流行った エボラ出血熱も、コウモリから人間へエボラウイルスが感染したものだとされている。 エイズは、サルのウイルスが突然変異によって人への感染性を獲得しヒト免疫不全ウイルス(HIV)になったと考えられている。 そして世界史上最大の被害を出したといわれる ペストも、ネズミ、イヌ、ネコなどが宿主で、ノミが媒介して人に感染するようになった病気である。 近年の感染症の多くがズーノーシス これらの共通点は何か。 そう、動物が持っていた病原体(ウイルス、細菌、リケッチア……)が人間に感染した結果だ。 いわゆる 人獣共通感染症。 動物由来感染症などともいう。 これらを「ズーノーシス」と呼ぶ。 世界保健機関(WHO)では、ズーノーシスは「脊椎動物と人間の間で通常の状態で伝播しうる疾病」と定義されているが、これまでに確認されているズーノーシスは約150種にも及ぶ。 たとえば病原体がウイルスであるものには、先に記したもののほか 狂犬病、日本脳炎、西ナイル熱などがある。 細菌では、 結核も野生動物由来だ。 なかでも ネコひっかき病、野兎病、ライム病、ブルセラ病……これらはペットのイヌやネコも媒介する。 さらにリケッチアによる Q熱、日本紅斑熱、つつが虫病なども有名だ。 人に感染してから変異する ただ動物の持つ病原菌が「人にも感染した」だけではない。 人間の体内で変異を起こすことが問題なのだ。 通常の変異はほぼ無害だが、たまに変異で感染力が増したり、人間の免疫系への抵抗力が強まったりする。 そして毒性を増すケースもままある。 エボラ出血熱の場合は、西アフリカのマコナ地区で1人が感染したあるエボラウイルスが変異して、人間への感染性を4倍も高めたことがわかっている。 なぜ野生動物の持つ病原体が人間にうつったのか。 いうまでもなく、両者が接触したからだ。 一つは、人間が野生動物に触れる場合だ。 野生動物を食べるため、あるいは毛皮や角を採るため。 さらに漢方薬の原料、そしてペットとするため。 たとえば SARSは、中国の野生動物市場で獲物のハクビシンから人に感染したと言われている。 今回の新型コロナも同じと疑われている。 増えた野生動物が人に接触する 次に動物側から人間社会に近づくことが増えたこと。 ネズミなどは都市部を住処として増殖した。 さらに ペットも大きな機会になるだろう。 とくに野外を自由に徘徊するネコは多くの病原体を身につけている。 そして日本の場合では、野生動物そのものの増加を忘れてはいけない。 シカ、イノシシなどは人里にも出てくるようになった。 さらに サル、クマも出没するし、近年は アライグマ、ハクビシンなど外来動物が野生化して激増している。 実際、これらの動物が山のヒルやノミ、ダニなどを人里に運んでいる例は多く報告されている。 マダニから感染する 重症熱性血小板減少症候群は極めて致死率の高い危険な病気だ。 ほかにQ熱、日本紅斑熱、ライム病などの感染源にもなる。 またアライグマは、日本ではほとんど消えたはずの狂犬病を媒介する。 ジビエという名の感染源に注意 最近は、増えたシカやイノシシを減らすためにも、これらの動物の肉を食べようという、いわゆる「ジビエの普及」が進められている。 だが、多くの未知の病原体を持つ動物を安全に食べるためには、注意を要する。 解体などの処理時はもちろんだが、間違っても生肉を食べてはいけない。 残念ながらシカ肉は刺身がイチバン、という声がまだあり、平気で販売、さらにレストランでも供されているが、極めて危険だ。 すでにシカ肉から E型肝炎ウイルスに感染する例がある。 ほかに サルモネラ菌や寄生虫、O157大腸菌もいる。 これらの病原体が、人体に感染してから体内で変異して感染力と毒性をアップするかもしれない。 それが全世界に広がり、新たなパンデミックを引き起こすことだってあるかもしれないのだ。 今回の新型コロナ肺炎がズーノーシスであることはもっと意識した方がよい。 そして野生動物との接触の仕方を誤ると、今後も新たなズーノーシスが登場しかねないことも。

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